いついつどんなときだって
あなたの聲をまっている
















…そう、正にこれは六日周期の奮闘記なのだ。

















「シンドバッドさん、これどうぞ」

一日目。
差し出したるはアイリス。

「…うん?」

どこか戸惑いながらも紫色に手を添えるあなた。
今日はとてもいい日和だ。

「くれるのかい?」
「はい。綺麗でしょう?」
「ああ、そうだね」

そうしてジャーファルさんに呼ばれて立ち去ったひと。

(さらりと揺れたあなたの紫髪も美しかった)




二日目。
差し出したるはナスタチウム。

葉が蓮のような形をしている花は、赤と黄色とオレンジ色。
明るく可愛い見た目です。

「シンドバッドさん、どうぞ」

僅かに眉を下げた戸惑いに笑って返し、受け取って貰ったと同時に踵をかえした。

(これはあなたの花なのです)




三日目。
差し出したるはタチアオイ。

「昨日おとといと花をくれるけど…どうかしたのかい?」

苦笑する王さまに首を傾げて見せれば、きっとなにも言えなくなるのだ。

「迷惑でしたか?」
「いいや。とても嬉しいが…どういう意味かと思ってね」
「タネ明かしはいつだって最後ですよ」

どんなショーだってそうなのだ。
勿論これも例外ではない。

(微笑む優しさに愛を返して)




四日目。
差し出したるはガーベラ。

筒状花と舌状花から成り立つこれは、時間を喰らって満開だ。

「どうぞシンドバッドさん」
「…ありがとうアリババくん」

小さな花束を受け取る彼には小さな空白。

(さてこれで半分が過ぎた訳ですが)




五日目。
差し出したるはストック。

「今日はまたカラフルな花だね」

ピンクに赤に青紫。
色鮮やかなストックに口許を綻ばせる彼。

「なんだか段々楽しみになってきたよ」
「それは良かったです」

ふっと息を漏らした相手は、喜ばしくも装いを変えていた。
ああ俺も幸せです。

(言いつつ実は明日で最後なんですがね…)




六日目。
最後に差し出したるはキンモクセイ。

オレンジの小さな花とその香り。
ここに還る想いをあなたにただただ。

「これで最後です」
「……参ったな」
「嫌ですか?」
「……嫌じゃないから困っている」

ああやっぱり彼はとても優れた人なのだ。
違うことない正しさを手繰り寄せ、そうして困惑に身を沈めていく。

「ねえシンドバッドさん、あなたの聲をきかせてください」

くしゃりと崩れた表情は、俺にとっての幸福で。
ねえずっと待ち望んでいたんです。

(誰にも差し伸べない花は、きっとあなたの恋心で育つから)

















(非言語に乗せた愛の告白)




***


みなと様、この度は150000打企画にご参加下さり誠にありがとうございました!

「あなたの世界に交信中」というタイトルで書かせて頂いたのですが…いかがでしょうか?ちょっと相変わらず訳の分からないもので申し訳ないです。差し出した花には二つ意味がありまして、花言葉と頭文字になります。

それでは本当に素敵なリクエストありがとうございました。すみません!(土下座)


(針山うみこ)


アイリス→愛・あなたを大切にします
ナスタチウム→愛国心・有能な人
タチアオイ→大きな志・気高く威厳に満ちた美
ガーベラ→希望・崇高美
ストック→愛の絆・求愛・私を信じて
キンモクセイ→真実・初恋